「サイディングの柄が気に入っているので、塗り潰したくない」
「外壁は塗り替えたいが、今の雰囲気は残したい」
外壁塗装をご検討中の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
外壁の塗装は、必ずしも建物全体を同じ方法で塗る必要はありません。
今回は佐賀県内で、色を付けて仕上げる通常塗装と、既存の柄を残すクリア塗装を壁面ごとに使い分け、屋根まであわせて施工した事例をご紹介します。


外壁は、すべて同じ方法で塗ればよいとは限りません。
今回は通常塗装とクリア塗装を壁面ごとに分け、それぞれに合った仕上げ方で施工しました。
ただし、クリア塗装はどの建物にも使える工法ではありません。
外壁の状態によっては選べない場合があります。
その判断基準についても、この記事の中でご説明します。
今回の施工概要(佐賀県内)
はじめに、今回の工事内容をまとめます。
- 所在地:佐賀県内
- 建物種別:戸建住宅(2階建て)
- 築年数:築○年
- 外壁材:窯業系サイディング
- 施工内容:外壁通常塗装/バルコニー外壁クリア塗装/屋根塗装/シーリング工事/付帯部塗装
- 使用塗料:外壁○○/クリア○○/屋根○○
- 工期:約○週間
- ご相談のきっかけ:外壁の色あせ。バルコニー部分の柄は残したいとのご希望
厚膜仕上げとは何かをご説明します
この記事では「厚膜仕上げ」という言葉が何度か出てきます。
はじめに、その意味をご説明します。
塗料には、メーカーが定めた標準塗布量と希釈率があります。
これは「1平方メートルあたり、どれだけの量を塗れば規定の膜厚になるか」という基準です。
厚膜仕上げとは、この基準を満たす塗膜の厚みを、面全体で均一に確保する仕上げ方を指します。
塗料を薄めすぎたり、塗り回数を減らしたりすると、色は付いても本来の耐久性は出ません。
塗料の性能は、規定の厚みが確保されて初めて発揮されるためです。
同じ塗料を使っても、塗り方によって持ちが変わるのはこのためです。
一方で、一度に厚く塗ればよいわけでもありません。
厚く塗りすぎると乾燥が不均一になり、垂れや割れの原因になります。
決められた回数と乾燥時間を守りながら、均一な厚みを積み上げていくことが必要です。

塗料のカタログに書かれた耐用年数は、規定どおりに塗った場合の数字です。
私たちが塗布量と乾燥時間にこだわるのは、その数字を実際にお届けするためです。
施工前に外壁と屋根の状態を調べます
最初に、外壁と屋根の状態を調べます。
色あせや汚れ、塗膜の傷み方だけでなく、目地のシーリング、付帯部、屋根材の表面まで見ていきます。



今回は、壁面ごとに仕上げ方を分ける計画でした。
通常塗装で色を付ける面と、クリア塗装で柄を残す面では、求められる下地の状態が違います。
そのため建物を一括で判断せず、壁面ごとに素材、意匠、劣化の進み方を確認して施工範囲を分けました。
調査の段階で仕上げ方を分けておくことで、着工後の手戻りを防げます。

クリア塗装は、既存の外壁がそのまま見える仕上げです。
通常塗装とは見るべき点が違うため、壁面を分けて状態を確かめています。
クリア塗装ができる建物、できない建物
クリア塗装をご希望される方は多いのですが、すべての建物で選べるわけではありません。
透明な塗膜で仕上げるため、現在の外壁の状態がそのまま残って見えるためです。
次のような場合は、クリア塗装をおすすめできません。
- 外壁を触ると白い粉が付く(チョーキングが発生している)
- 色あせが全体に進んでいる
- ひび割れ、欠け、補修跡がある
- 雨だれのシミ、コケ、カビが落ちない
- 過去に塗り替えを行っている
チョーキングが出た外壁にクリア塗装をすると、粉が浮いた状態のまま透けて見え、白くぼやけた仕上がりになります。
補修跡も同様です。
通常塗装であれば色で覆って隠せますが、クリア塗装では隠せません。
そのため、クリア塗装が選べるのは劣化が進む前の段階に限られます。
一般的には、新築から10年前後までが判断の目安です。
柄を残したいというご希望がある場合は、傷みが出る前にご相談いただくことが何より大切です。
なお、外壁材の種類によっては、表面のコーティングにクリア塗料が密着しない場合があります。
この点は、現地でメーカーや外壁材を確認したうえで判断します。

「クリアにできますか」というご質問には、現地を見てからお答えしています。
できない状態でお引き受けすると、仕上がりでご期待に添えないためです。
洗浄とシーリング工事で塗装面を整えます
塗装の前に、高圧洗浄で表面の汚れ、コケ、古い塗膜を洗い流します。
あわせて、劣化した既存のシーリングを撤去し、新しく打ち替えます。
シーリングは、サイディングの目地やサッシまわりに充填されている、ゴム状の材料です。
年数が経つと痩せて縮み、やがて切れて隙間が生まれます。
シーリングが切れた隙間からは雨水が入り込み、外壁の内部で下地材を傷めます。その結果、外壁の膨れや反りにつながることがあります。
塗装の耐久性以前に、建物を守るうえで欠かせない工程です。


洗浄が終わったら、塗装しない窓や設備、床面を養生します。
境界を丁寧に保護することで、塗装部分との線が整い、完成時の印象が変わります。

完成すると見えなくなる工程ですが、仕上がりと持ちを決めるのはこの段階です。

塗膜をいくら厚くしても、下地との密着が足りなければ塗料の性能は出ません。
洗浄とシーリングを終えて、はじめて塗装に入ります。
通常塗装の外壁を厚膜で仕上げます
通常塗装を行う壁面は、新しい色の塗膜で既存の外壁を覆い、表面を保護します。
壁面の凹凸や端部を見ながら、塗り残しと厚みの偏りが出ないよう塗料を配ります。

広い面はローラーで、角や取り合い部分は刷毛で塗り分けます。
外壁の模様をつぶしてしまわないよう、ローラーの毛の長さと押し当てる力を調整しながら進めます。

エアコンカバーは外して塗装します
外壁には、エアコンの配管カバーや設備が取り付いています。
これらは、外せるものは取り外したうえで塗装しています。

取り外すことで、カバーの裏側にあたる部分も洗浄から塗装まで行き届きます。
取り付けの際は、ビス穴を処理してから戻します。
この一手間によって、隅や角まで塗膜が連続し、仕上がりの印象が変わります。



